2010 春陽会 受賞作家展


2010年10月2日(土)〜10月24日(日)



 

ごあいさつ
この度、2010春陽会受賞作家展を開催いたします。
1922年に設立された春陽会は、人の人生で言えば米寿を迎え、大変な歴史を刻み続けてまいりました。これは国内ではもっとも長い歴史を持つ団体展の一つです。
伝統は芸術という名においては、決して守るべき対象ではないかもしれません。 しかし、春陽会の設立の趣意書には「各人主義」という、現在の春陽会の理念とでも言うべき言葉が綴られています。この「各人主義」とは、人それぞれの芸術を目指すと言うことであり、オリジナリティや個性を尊重するということです。
これは芸術として当然のことですが、自己表現の純粋な追及、すなわち己の存在を賭して、観て、感じて、考えたことを表していくことを高らかに謳い上げているものなのです。その意味では、先人たちの築いてきた伝統とは、決して古き良きものということではなく、むしろ革新と挑戦を示していることになり、先人の意志は引き継がれて いくべきものでしょう。
春陽会は優れた作家を育て、世に出すという、いわば行政や画廊、評論家がすべき役割を作家自身が担うという、文化発展の一翼を担ってまいりました。しかし、昨今の国内外の経済状況の中では、作家にとって大変厳しい状況が続き、いまだ文化行政は美術に手厚いと言えないし、メディアや評論家においては、地道に追求している優秀な作家を見出すには、海辺のひと粒の砂を探し出すような状況です。
その意味では、春陽会としての責は、一層重いものになっていると言っても過言ではありません。私たちは優れた才能を見出し、育み、入選や受賞という形で世に問いかけています。
本年の第87回春陽展では、ここに展示される各氏が受賞されました。春陽会として、オリジナリティと芸術性を高く評価し、これからの美術界に一石を投じることを目指してもらいたいという期待を込めています。
どうぞご高覧頂くとともに、それぞれのこれからの活躍を温かい目で見守っていただきたく、お願いいたします。
社団法人春陽会理事長 三浦明範


展示風景