鼻煙壺

U氏コレクション

2016年4月9日(土)〜5月8日(日)









鼻煙壺(びえんこ)とは

嗅煙草(※)を入れる容器であり、その使用は中国清代初期に始まった。
その体裁は小さく、精巧で、携帯に便利に作られている。鼻煙壺は日常に使用し、随時手に取って賞翫するものであるから富者は往々にして大金を惜しむことなく精製の妙品を探求した。したがって、その材料の吟味と製作に当たっては必ず精緻な美観が追及された。
鼻煙壺はその形状も多くは扁円形で、材質は初めは五色の玻璃(ガラス)で作ったが、次には不透明ガラスの使用に進み、その後、金銀・翡翠・玉石・瑪瑙・珊瑚・象牙・陶磁・果核(種)・竹木等、各種の材料を用いるようになった。いずれも彫琢・彩絵・象嵌などによって各種の文様が施され、手に取って賞翫するような商品であるが、完美賞すべき芸術品となった。
特に、玻璃の物は器の内側に彩絵を施すもので、口が小さいので下筆はきわめて困難である。

(※)嗅煙草はヨーロッパからの舶来品であり、煙草の葉と芳香性植物とを混合して作った粉末である。これを嗅ぐと目が覚め、疾病を避けるのに効能があるといわれた。
嗅ぐときには匙で取り出し、親指と人差し指とでその煙草の粉をつまみ、鼻孔の所に持って行って、鼻に吸い込むものである。